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青空文庫で本を読みませんか。
短編、短時間で読める作品も多いので、スキマ時間の気分転換にぴったりです。
もちろん長編作品を時間をかけてゆっくり読むのもよし。
青空文庫を読むためのスマホのアプリもありますよ。
青空文庫は、誰でも自由にアクセスし、無料で利用できるネット上の図書館です。
青空文庫で読めるのは、著作権が消滅した作品と作者が公開を許可した作品。
夏目漱石、芥川龍之介、宮沢賢治など、誰もが知る日本の作家の作品はもちろん、カフカやスティーブンソン、チェーホフなどの外国人作家の作品、国内外の童話、推理小説、哲学、歴史から政治、社会科学、自然科学…と、とにかく様々な作者・分野の作品を読むことができます。
青空文庫の運営はボランティアによって運営されており、作品の入力・校正もボランティアによって行われています。
公開されている作品は、なんと18,000点以上。※2021年10月時点
そんな多くの作品の中から、おすすめの作品を少しずつご紹介していきます。
今回のおすすめは、植物学者の牧野富太郎(1862-1957)の作品です。
牧野富太郎は、2023年放送予定のNHK連続テレビ小説『らんまん』の主人公のモデルでもあります。ご紹介する自叙伝を読みながらドラマを楽しむのもいいかもしれません。
青空文庫で読める牧野富太郎の作品リストはこちら
※「読むのにかかる時間」は、一度さらりと読む場合の時間です。個人差ありますがご参考までに。
読むのにかかる時間(第一部):60分 こちらからすぐに読めます
読むのにかかる時間(第二部):30分 こちらからすぐに読めます
寺子屋から郷校である名教館へ、学制が変わり小学校へ入学した後に中退。その後も学校や学位などにとらわれず、己の情熱のままに学び、研究を続けた彼の生涯が綴られています。常に研究のために人、環境、書物を求め、ひたすらに走り続ける姿はとにかくパワフルの一言。植物誌をつくりたい一念で、自ら石版印刷の修行までしています。
自叙伝としてだけではなく、明治大正昭和それぞれの時代を感じられる側面も。
『幼年期』では、彼の生まれた佐川村(現在の高知県高岡郡佐川町)の明治初期の様子が描かれており、学問、教育が盛んだった土地だったことが読み取れます。
なお本作は、雑誌に掲載された文章や講演の文章なども織り交ぜられており、重複する部分も多い内容です。
第二部は、気になるタイトルの箇所から読んでいくのもよさそう。
読むのにかかる時間:3分
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若い頃からとにかくあちこちを歩き回った牧野富太郎の植物採集談。
愛媛の石槌山、高知の幡多郡、柏島、沖の島、足摺岬など、故郷である四国の地名が多く登場します。
文中の地名は現在は変わっているものも多いのですが、調べながら地図をたどりつつ読むと、その道のりの険しさが伝わってきます。
『今年九十三年に達した私はこれから先、体のきく間、手足の丈夫な間、また頭のボケヌ間は、いままで通り勉強を続けて、この学問に貢献したいと不断に決心している』
植物が好きだから自分の学問に苦労したことはない、と語る筆者のパワーがこの植物採集談からも感じられます。
読むのにかかる時間:3分
こちらからすぐに読めます
牧野富太郎が、水草のムジナモを日本で初めて発見したときの話。
この”ムジナモ”というのは、牧野富太郎がつけた和名。貉藻、狢藻と書きます。
ふと用水池の水面を見た瞬間にその植物を『異形な物』と感じた牧野富太郎。
豊富な知識と経験が偶然を引き寄せたかの様。
『一条の茎が中央にあつて、その周囲に幾層の車輻状をなして沢山な葉がついているが、その冬葉には端に二枚貝状の嚢がついていて、水中の虫を捕え、これを消化して自家の養分にしているのである。故に、根は全く不用ゆえ、固よりそれを備えていない。また、葉の先きには四、五本の鬚がある』
どんな形をイメージしましたか?
この一文からムジナモの姿を想像した後に画像を見てみました。想像した姿に近かったです。
読むのにかかる時間:5分
こちらからすぐに読めます
東京帝室博物館(現在の東京国立博物館)にあった一本の寒桜。
牧野富太郎にとって『思い出の深い一樹』であるその寒桜から話は広がっていきます。
『人々を引きつけるに足る珍しい桜を上野公園に栽えて公園を飾り、衆目をたのしますことにつき不断の関心を持って』いた牧野富太郎。東京帝室博物館に勤めていた彼は、そのカンザクラを増やそうと試みたり、北海道から大山桜の苗木を取り寄せ、同館の敷地に植えて増やそうとしたり。しかし、関東大震災と彼の同館退職により頓挫してしまい、それらの桜がその後どうなったのかがとても気になる様子。
作中、彼は熱海の繁栄策として桜を植えることも熱心に勧めています。
『マーやってごらんなさい。きっと当たるよ。』
とにかく植物が好きで、その美しい姿を皆にも見て楽しんでもらいたい。
まるで昔話の花咲か爺のごとし。
読むのにかかる時間:60分
こちらからすぐに読めます
一つひとつ植物を取り上げて解説している作品。
『植物に取り囲まれているわれらは、このうえもない幸福である。こんな罪のない、且かつ美点に満ちた植物は、他の何物にも比することのできない天然の賜である。』
牧野富太郎の植物讃歌ともいうべきあとがきだけでもぜひ。
本文は、植物名とそれぞれにその植物の図がついており、気になる植物の箇所から読める構成。
まるでその植物の実況中継をするかのように、植物の名の由来やつくりが語られます。
取り上げられている植物は身近なものが多いので、その文章から形を思い浮かべつつ読み進め、もう一度図を眺める。植物の部位など専門的な言葉も多いのですが、いくつか読んでいくうちに慣れていきました。
『もし諸君がこの文章を読んでいささかでも植物趣味を感ぜられ、且かつあわせて多少でも植物知識を得られたならば、筆者の私は大いに満足するところである』(あとがきより)
よく見かけるあの植物の名前はシュウカイドウ。いつも食べているミカン、意外な部分を食べていました…。